その刹那、レースのカーテンを派手に舞い上がらせ、私の頬を鋭くきる疾風が吹いた。


思わず呆気にとられていると、舞う白いレース越しにタンスの上から風に踊りながら落下していくものが見える。


スローモーションのように落ちていく一枚の紙に私は釘付けだ――。


何度も翻り、見え隠れするシャープで個性的な色使い。


私は驚きのまま目を見張り、時間が止まったかのように動けずにいた。


信じられるはずがなかった――。


“身体は病気でも、心は病気じゃない”


もう聞くことのできないあの芯の強い声が、私には聞こえたんだ。


今、確かに聞こえたんだ――。