その痛みに気付いた頃には、お母さんはいくつもの透明な雫を毛布の上に落としていた。
そしてこの痛みの証に、お母さんは右手を大きく震わしている。
辛いのは私なのに、何故いつもいつもお母さんが泣くの。
何でぶつの……。
私はありったけの力で拳を握り締めた。
可哀相な顔して泣くお母さんが大嫌い。
だから、私はいつも我慢して泣けないんだ――。
見たくもないお母さんの顔が歪んで滲んでぼやけていく。
私を理解してくれる人なんてどこにもいやしない。
「元気なお母さんには、私の気持ちなんて一生わからないよ!産んでくれなんて頼んでないのに。産まれてこない方がマシだった――!」