そんな中、微かに吐き捨てられたような声に私は我に返った。


「何であなたみたいな人が、一緒にいられるのかわからないわ……」


黒く艶やかな髪はそよぎ、その風は重い彼女の心さえも私に舞い届ける。


私の方を振り返ることはなく、華奢そうな細い背中は必死に何かに耐えているようだった。


不思議だけど、私と似ている気がした。


もう一人の子とは違って制服は真面目そうに着こなされて綺麗だけど、決して目立つようなタイプではない。


そう、彼女は私と同じように、あの一点だけを見つめていた――。


「お願いだから、羽田野君の優しさを利用しないで……」


そして、彼女は震える肩を抑えながら、私の心を鋭い言葉で貫いていったのだ。