心はさみしくて悲しいのに、呆れ返ったように出てこない涙に私は内心安堵していた。


「あっ、俺、飲み物買いに行くとこだったんだ」


彼が突然思い出したように言えば、活発そうな女の子の方はすかさず笑顔を浮かべてさり気なく彼のもとへと駆け寄っていく。


「私も行く~。行こ」


「じゃあ、さゆちょっと待っててね」


そうして、彼の背中が一歩ずつ遠ざかっていく。


私は返事もしていないのに。


だから私はただ黙って、普通に並んで歩く二人を見つめることしかできなかった。


彼の隣には、ああいうふうに可愛くて普通な女の子のが似合うに決まっているんだ。