どうしても、堪えきれなかった。


彼らしくない、彼の矛盾した行動に、私の方が遣る瀬ない気持ちになる。


彼はただただ驚いたように目を見開いたけれど、やがて動揺したように瞳が揺れだした。


でも、私は彼がどんなに困ったとしても伝えたかったんだ。


「ごめん、のんちゃんから聞き出した。事情はわかるよ。でも、そんな顔をする理由は何?絵、好きなんでしょ?」


陰って色濃くなった葉たちが強い風によって、悪戯に音をたてる。


そんな木々が騒めく音に、胸の騒つきは嫌というほど増幅されていく。


こんな言葉を発するのは本当は辛くて仕方ないのだ。