太陽は急に姿を隠し、木の影が薄暗く広がって、私たちを覆っていく。
太陽を隠した雲を見ていると、時折見せる彼の下手すぎる作り笑いを思い出すのだ。
雲に覆われても尚、光を届けようとするところが、嫌になる。
だから、私は無言のままイヤホンを外した。
落ちゆくイヤホンが車椅子のリールに当たって、高く虚しい音を二人の間にこだまさせる。
私はその音に弾かれるように、かたく結んだ唇を開いた。
「……何でいつもそうなの?私のことはどうでもいい……。自分はどうなの――?」
私は逸らさないように、彼の瞳を強く見つめた。

