「本当にわかっているとは、私は思えない。元気な子とは何もかも違う。付き合うなんて無理だろう」
お父さんの言葉が現実すぎて、胸が痛む。
当たり前で的確で、私がずっと胸に思い、今だって迷っているのだから。
でも、彼は急に手をはなすと立ち上がったのだ。
「俺じゃ頼りないのはわかってます。でも、ちゃんと紗由里さんを支えられるようになりますから。許してください!」
真っすぐに立って、彼が一生懸命に頭を下げる。
私はそんな彼の懸命な姿に唇を噛み締めながら、あつくなる胸を押さえた。
自分を恥ずかしいと思ったんだ。
彼はこんなに頑張ってくれてるのに、私は迷ってばっかりだ……。

