緊張で強ばる彼の手をそっと優しく握って、私も唇に少しの勇気を宿してみる。
「お母さんは知ってるけど、彼とは小四の時に入院中に会ったのがはじめだった。それで見ての通り彼は川商生だから交流会で再会したの」
目の前のお父さんを負けないように見据えながら、しっかりと言葉を紡ぐ。
だけど、お父さんの表情はますます厳しさの色を増す。
いつもは日の光がさすリビングも今日は自然の光がささなくて、なんだか全てが敵に回ったみたいだ。
険しいお父さんの表情も、心配そうにお父さんの隣に並ぶお母さんの心配気な顔も、より一層影が差す。

