――草花の小さな葉に、勢い良くぶつかった雫が葉を揺らしては弾けとぶ。


テラコッタ色の煉瓦が敷き詰められた地面は、最初は染みができる程度だったのに、今では全てが普段より色が濃くなっていた。


私は廊下のレースのカーテンを数センチ開け、視線だけをそんな庭に放り投げる。


本当は庭が見たいわけでもなんでもない。


何も、見たくも聞きたくもないんだ。


屋根を叩く雨音は、明け方から容赦なく鳴り続け、いい加減耳を塞ぎたくなる。


暖かい季節になったというのに、珍しくひんやりした今日は私の爪先を冷えさせた。


まるで、誰も味方はいないと責められているようで嫌になる。