「そんなのいい……。どうせうるさく言われるの」


彼と目を合わさずに絞りだした声は、とても低く、ちっぽけな小さな足元へ落ちていく。


喜ばれることは、祝福されることは決してない……。


親に言われることなんてわかり切っていて、そこを敢えて言いに行くなど、わざわざ反対されにいくようなものだ。


その刹那、肩をつかまれて急に横を向かされた。


びくりとしながら、首筋をつたって視線を上に移動させれば、全面にうつるのは彼の真剣な顔。


「だからこそだよ。心配に決まってる。だから、ちゃんとわかってもらおう」


私は彼の真面目さにため息を吐いた。


彼はそうやって自分から色々なものを背負ってしまうんだね……。


生き方が、下手だよ……。