隣で急にぱちんと音がして、私が横に視線を送れば彼がぎゅっと目を瞑って、まるで拝むように手を合わせていた。
「お願い!どうしても、頼むよぉ。お願い、さゆ~!」
私はたじろがずにはいられない。
彼があまりにも一生懸命頭を下げてくるのだから。
いくら何でも、もう逃げ場が見つからない。
「わかったから、もう頭あげてよ……」
私は俯いて、仕方なく蚊が鳴くような声をどうにか発した。
もう観念するしかないだろう……。
こんなことで緊張して、シーツを握る手に更に力が入る。
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