「さゆからでいいよ〜」


なのに、能天気な声が上から降ってくるから、ぎこちなく居場所を探す手がシーツをきゅっと掴む。


彼はきっと何もわかってないのだろう。


「何でもないから。そっちは何よ?」


だから私はつい、可愛げのない言い方をして突っぱねてしまう。


やっぱり私はこういう空間が苦手だ。


急に狭くなる胸の奥も、熱くなる頬も、勝手になってどうにもできないなんて、自分の体ではないみたい。


「じゃあ、俺からね。俺、さゆにお願いがあるんだぁ」


彼はそこまで言うと、言葉を勿体ぶってためた。