――まだ見慣れないグレーのラグの上で、私の小さな足が居心地悪そうにもぞもぞと動いている。


爪先まで緊張が広がって落ち着かない。


先程から沈黙が重くのしかかっている。


こんなにぎこちないのは、ここが紛れもない彼の部屋だからだろう。


いい加減この沈黙に耐えきれなくなった私は、打ち破るように声を発した。


「あの」

「さゆ」


ハモるように重なる声。


少し上を向けば隣の彼と視線がばちっと交わり合う。


胸の奥が勝手に狭くなって、私は慌てて下を向いた。


隠した顔が熱くて、自分のしたことにもはや後悔するしかない。