だけど、簡単に謝る彼にも腹が立ってくる。 私はそんな言葉がほしいんじゃない。 逆に私を避けてよ、嫌ってよ。 芝生も桜とはもうわからぬ程に新芽の吹いた木も、憎らしいほどに青々している。 その中で輝く彼は、傍にいるには苦し過ぎた。 私の極僅かな糸から紡がれた細い細い予防線なんてすぐに焼き切れてしまう……。 でも、そんなちっぽけな糸でも私が必死に守り通してきたものだから。 「お父さんにもバレるとこだった。もうこんなことはしないで、迷惑なの」 だから、私は最期までちっぽけな糸を守る。