私はそんな想いを殺したくて、奥歯を強く噛み締めた。


〈どうしたらいいのかな……。この前の川商の人に好きって言われて、どうしていいか、わかんないの……〉


こんなこと言えるのは、こんな自分を見せられるのは、茜ちゃんしかいない。


だから、気付けば想いを全部吐き出してた。


他の誰にも、こんな想い打ち明けられないから――。


返事が届くまでとても長く感じられた。


きっと時間にしたらそんなに長くない。


でも、初めてこんな想いを打ち明けるのは緊張して、とてつもなく長く感じるんだね……。


〈さゆりんはどうなの?さゆりんは、もっと心に素直になった方がいいって思うよ。抑えてないで、しっかり向き合いなよ〉


私は痛む胸にケータイを抱いて、瞼をかたく閉じたのだった。