だから、なっちの気持ちがこんなにつかめないと思ったのは初めて。 明るいなっちはどこかに消えてしまったみたい――。 「……羨ましいな。紗由里ちゃんは友博君のいろんなとこ知ってる」 俯かれた顔の中で、瞳が悲しく光る。 私はこの時初めて気付いたんだ、なっちの気持ちに。 「勇気ないんだけどね、今年こそ伝えたいの……」 振り絞るように震えるか弱い声に、きゅっと力をこめた小さな拳。 可愛い後輩が、私なんかより数倍強く、数倍煌めいて見えた。 「友博君のことが好きなの――」