ぽつりと、なっちの澄んだ声が擦れたように聞こえてきた。
人が集まりだした体育館前のホールは騒がしいのに、その小さな声は何故かしっかりとした響きを持つ。
でも、私はどうしたらいいのかよくわからないまま、言葉を返した。
「ともと……?宿題やってこないし、世話やけるんだよー」
私はなるべくいつものように笑って話す。
ともは確かに長年一緒で当たり前な存在。
一緒にいて気は楽だけど、その分宿題サボりなどよくやきもきさせられた思い出だっていっぱいある。
だから、なっちがそんなことを言うなんて思ってもみなかったんだ。

