「おはよー、紗由里。おっ、なっちもー!」 噂をすれば何とやら、とはよくいうものだ。 黒い短髪の小柄な男子が、朝から元気に車椅子をとばして向かってくる。 この男子が松本友博だ。 「おはよ」 「おはよう、友博君」 私となっちが挨拶を返せば、ともはそわそわしてクラス表へと視線を泳がす。 「ねえ、クラス分けどうだった?」 ともは興味津々。 そんなに気になるなら早く来ればいいのにと心の中で呟いて、ため息を吐く。 「十二年間一緒のクラスが決定よ。祐貴も一緒」 私は淡々と告げた。