車椅子の私に目線を合わせるため、自然としゃがむ動作。 川島商業の学ラン。 ――そして、家族しか呼ばない“さゆ”という呼び方――。 「やっと会えた――」 私の質問には答えることなく、よくコロコロと表情が変わっていく。 今度は優しげな目元が少し崩れて泣き笑いのような笑顔に。 空はさえない灰色なのに、何でだろう、眩しいの。 彼自身が――。 見知らぬ少年の太陽のような笑顔に、吸い込まれそうになる……。