「おはよー」
私にはそんなあいさつを掛け合う友達なんていない。
校門を入り、教室へ急ぐ。
昨日の出来事、鋼賀くんはもしかしたら、本当に?
「沙ー津ー季!」
にやにやしながらまどか達が近づいて来る。
「・・・なに?」
内容は分かっている。でも、知らないふりして聞いてみた。
「鋼賀くんとなにしてたの?」
ああ、なんだ。そんなこと?
「別に。お礼言って、そのまま帰った。」
そういえば、お礼言ってない。
「へぇー・・・」
バンッ!壁に叩きつけられた。
「鋼賀くん。私のこと好きなんだから、付きまとわないでね?」
は?鋼賀くんがまどかのことを?好き?ありえない。
「わかった」
「へえ。じゃあ、鋼賀くんに聞いてみよ」
席に着いた鋼賀君はこっちを見ていた。
「ね、鋼賀くん。沙津季ちゃんのことどう思ってる?」
ちゃん、か。なんか言われてないから気持ち悪い。
「俺は・・・」
「ん?もちろん嫌いよね」
「俺は、おまえよりも、沙津季のほうが断然可愛い」
「なっ!」
なんで?どうして?
「へー、鋼賀が中野原のこと・・・」
「すげー」
男子は冷やかしの言葉を浴びせる。
「なんで!?あんな奴のどこが・・・」
まどかは信じられないという顔をしている。
「だいたい、好きでもないのに自分の事が好きとか言ってる自己中女なんか相手にできねえ」