明日香Side

あたしの学校は、ほぼ全てが「生徒会」で構成されている。
小規模な街の中心に、密かに建つ学校。
超名門、私立美川高校・・・・・・。

あたしは今日からこの美川高校、通称「美校」に通うことになる。
県内トップレベルの頭脳を誇り、イケメン&美人の「巣」だとも言われる美校は、日本の女子の憧れだ。
そんな完璧校にあたしが合格できたなんて、奇跡だ奇跡。うん。
あ、先に自己紹介しないとね。
あたしは七海明日香。
まあ、バカ・・・といっても、美校に受かったくらいだから、普通ではあるかも。
冴えない容姿で、体型もパッとしないし・・・・・・言ってしまおう・・・あたしは、地味子だ!!

教室に入ると、もうそれはそれは美男に美女ばかり!空気がキラキラしてますよ!
あたしなんかが入ったら、みんな嫌な顔するかな・・・。
そう思うと気が引けて、教室を出てしまった。
・・・・・・どうしよう、あたしなんかがいて良い場所じゃない・・・。
あたし、高校間違えたかも。
あたしが心の底から悩んでいると、後ろから声がした。
「・・・・・・中、入んないの?」
反射的に後ろを振り向くと、眩しいほど綺麗な顔に、スラリと長い手足・・・容姿端麗って、この人のためにある言葉なのかも。
サラサラの茶髪に、くっきり二重の目は、あたしを捉えて離さない・・・・・・。
左胸には「青柳」の字。
そあたしはその人にしばらく見入っていた。
つりあわないと、わかっていても。それでもその目は、あたしをじっと見つめている。

はい・・・・・・・・一目惚れ、しました。



  翔太Side

こいつ・・・。半透明の眼鏡かけててわかんないけど、多分可愛い。
いや、絶対可愛い。眼鏡で隠れてる部分を除いても、まぶたはきれいな二重だし、口からも荒れている様子は伺えない。
ゆるいカーブがかかっている髪の毛は、いっさい手を加えていない黒。
体型はまあ普通。
全体的に細い。ちょっと触れたら折れてしまうのでは・・・と思えるほどに細い。
でもこいつ、着痩せするタイプだ。
胸はでかいと思う。
俺は、自分でもわかるほどに顔を赤く染めた。
左胸の「七海」を確認すると同時に、つい胸のほうにも目がいってしまった。
こいつなら・・・。こいつなら、俺の「跡継ぎ」になれるかも。
アイツからは、「可愛い子」を絶対条件とされたんだから・・・。
こいつは、断るだろうか。
まあ、こいつがだめなら探してみればいい。一人目なんだ、気楽に行こう。