「絢華さん、これから俺のことを知ってください。それから、俺に絢華さんのことも教えてください」


「舜くん?」


「正直、優太さんに勝てる自信はないけど、俺、とりあえずスタートラインには立ちたいんです」


「どういう意味?」


「お互いのこと何も知らなかったら、何も始まらないでしょ?」




やさしい笑みを浮かべながらそう言う舜くんに




「確かに」




心で思ったことを口に出していた。




「だから、とりあえずお互いを知ることから始めたいんです」


「そうだね、よく知ることって大切だもんね」


「はい!」




この日は、そんな言葉を残して、舜くんは帰っていった。


舜くんって、言葉の一つ一つがあったかくて、心まであったかくなる。


舜くんが、蒼太にバスケを教えてくれる土曜が、……凄く楽しみになった。