あの頃のあたしには、優太がすべてだったから……


舜の話を聞いていたら、当時を思い出して、……目から涙がこぼれ落ちた。



「昨年のお正月だったかな。……紗羽さんが笑ってる絢華を見て“やっと絢華の笑顔が見れた”って言ったの」



そういえば、そうだった。



「親友の紗羽さんの前でも、うまく笑うことができてなかったんだって思ったら、俺まで胸が痛くなったよ」



あたしも知らなかった。


紗羽の前ではちゃんと笑えてるって思っていたから。


蒼太と優華の前でしか笑えていなかったっていうことを、この時初めて知ったんだ。



「絢華」


「ん?」