舜の車に乗り込むと、優華はもうすでに寝ていた。



「舜、ありがとう」


「いや、つか、“須藤ちゃん”って何?」


「あたしの旧姓。優太と結婚する前は“須藤絢華”だったんだ」


「そうなんだ」


「うん」


「絢華、相当泣いただろ?」


「うん」



やっぱり、そう思うくらいひどい顔をしているんだろうな。



「でも、行って良かった。仲間って凄いね。優太があんなにたくさんの人に慕われていたなんて……感動しちゃった」


「絢華から話を聞いてるだけでも、凄い人だったんだろうなって思ってたよ」


「うん」


「それ、何?」


「え?」


「絢華が今、手に持ってるやつ」



あ……


あたし、ずっと握り締めていたんだ。



「優太が高校時代に着ていたユニフォーム。太一さんが持っていてくれたんだって」