☆一番星☆

「須藤ちゃん」


「はい?」


「ずっと、渡せなかったものがあるんだ」


「……何ですか?」



太一さんは、横に置いてある袋から何かを取り出した。


あたしの前に差し出されたもの……



「これ」



また涙が出てきた。



「ん、優太が使ってたもの。ほんとはすぐに渡すべきだったんだろうけど、泣き崩れてる須藤ちゃんには渡せなかった」



震える手でそれをつかんだ。


優太が高校時代に着ていた赤いユニフォーム。


背中には“FUJIMOTO”という文字が書かれている。



「これは須藤ちゃんが持ってて」


「ありがとう、ございます」



そう言って、このユニフォームをぎゅっと抱き締めた。