「ママー、おじゅじゅちょうだい」


「ゆうかもおじゅじゅ」




蒼太には水色、優華にはピンクの数珠を渡した。


二人とも、パパが眠るお墓にむかって、目を閉じながら手を合わせて、“ナンナーン”と呪文のように言い続けている。




ねぇ、優太……


蒼太は二ヵ月前の三月で四才になったよ。


優華はあと二ヵ月で三才だよ。




ねぇ、優太……


どうして優太だけ、ここにいないの?




「ママー、なんでないてるの?」


「ママー、どこかいたいの?ゆうか、いたいのいたいのとんでけーってする!」


「じゃあ、蒼太と優華に“飛んでけー”ってしてもらおうかな」


「するする!」


「ママ、どこいたいの?」




二人は嬉しそうに話しながら、可愛い笑顔を向けてくる。


そんな二人に、あたしも自然と頬が緩む。


そして……




「ここ」




そう言って、胸の辺りを触った。


二人は何度も、あたしの胸を撫でながら“いたいのいたいのとんでけー”と、空に向かって手のひらを広げた。




優太、ちゃんと見てる?