舜が数歩前を歩いて、玄関のドアを開けて……




「ただいま」




と言ったけれど、あたしはどうしたらいいのかわからず、玄関前で足を止めた。




「絢華、入って」


「えっ、でも……」




中からパタパタとスリッパの音をたてながら顔を出したのは……


たぶんお母さん。


ていうか、絶対にお母さん。




「は、はじめまして。藤本絢華と言います」


「絢華さんね、私は舜の母です。ここじゃなんだから、中に入って」


「はい、お邪魔します」




促されるまま中に入って、通されたのはリビング。


ソファーには、こっちを向いてお父さんらしき人が座っていて、ちょっと離れた場所に、背中を見せながらテレビを見ているお兄さんらしき人が座っていた。