「……う…くっ…」




でも、……もう、ダメっ……


座っていたベンチに足をあげて、体育座りした膝に顔を埋めた。


その瞬間……


走ってくる足音が聞こえて……


目の前には舜がいて……




「絢華、どうした?」




舜はやさしく声をかけてくれて……


何も答えず、ただ泣き続けるあたしをぎゅっと抱き締めた。


そのまま舜の胸に顔を埋めた。


そんな時間が続いたあと、




「絢華さん」




蓮くんが口を開いた。


それでも何も答えないあたしに、さらに続ける。




「さっきの話するの、紗羽はずっと悩んでいました」




えっ……


自分がひどい顔をしていることも忘れて、思わず顔を上げた。




「この話をして、絢華さんが泣くのをわかっていたから。でも、……優太さんのことで、紗羽が知ってて、絢華さんが知らないことはあってはいけないって」


「紗羽、が?」