「思ったことはちゃんと口にしなきゃ」


「でも……、あたし、母なんだよ?無責任に何でも口にはできないよ。あたしの一番は蒼太と優華なんだもん」


「絢華。……なんか、あたし飲みたい気分」


「紗羽が?何で?」


「だって、切ないよ。絢華はさ、親がいないから、おばあちゃんが亡くなってからは、優太さんがたった一人の家族だったじゃん?そんな優太さんを20才の時に亡くして、三年かかってやっと立ち直って新しい恋をしたのに、こうやって甘えることすらできないんでしょ?……そんな大切な親友のことを想うと、飲みたくもなるよ」


「紗羽」




紗羽のこの温かい言葉に、涙がポロポロと溢れてきた。




「今夜は飲もうよ。普段絢華は、お酒で気持ちを紛らわすことってないんでしょ?」


「うん、あたし弱いからすぐ潰れちゃうし、子供達に何かあって気付かなかったら大変だしね」


「今夜はあたしがいるから大丈夫。絢華は安心して潰れな?」




“安心して潰れる”っておかしくない?


まあ、紗羽らしい表現なんだけど。


でも……


今日は、飲んじゃおっかな。