舜がちょっぴり声を荒げて、友達と話す声が聞こえてきたけれど、あたしはとりあえず歩いた。




「ママ、ないちゃヤダ」




あたしに抱かれている優華が、一生懸命あたしの涙を拭いてる。




「ごめんね……ママ、弱くてごめんね」




しばらく歩いたら、休憩所みたいなところがあったから、三人でそこに座った。




「ゆうか、こわかった」


「え?」


「おにいちゃんとおねえちゃん、こわかった。ママもこわかったんでしょ?」


「優華、怖かったの?」


「うん」


「ボクは、こわくないよ。だっておとこのこだもん!」


「そっか、男の子って強いんだね。ママも男の子に生まれればよかったな」


「それは困る」




という言葉が、突然あたしの声を遮ってきた。


振り向いた先には、いつの間にか舜が立っていた。




「絢華は女じゃなきゃ困る」


「舜?」