「舜は誰と来てるの?」


「彼女」


「え!?舜って彼女いたの?」


「マジ!?」




女の人の声ばかりが、ザワザワと耳に付く。


ヤダなぁ。


このままそぉーっと三人で歩いていっちゃおうかな。


なんて考えているあたしの後方で、また女の人の声が響く。




「彼女はどこにいるの?」




ヤダ……


呼ばないで……


お願いだから……


そっとしておいて……


でも、そんな願いも虚しく……




「絢華」




そう呼ばれてしまい、舜にもわからないように、小さく息を吐いた。


仕方なく、顔だけを舜に向ける。




「立って」




ヤダな……


立ち上がって振り向くと、みんなの視線があたしに向いたのがわかった。


蒼太と優華は、この変な空気を察したのか、あたしの後ろに隠れて、服の裾をつかんでる。




「彼女」




舜はあたしの肩を抱いて、みんなに向かってそう言った。