そんなとき、隣でガサゴソと音がし始めた。




「あ、起きたかな」




スーッと戸が開いて、蒼太が目を擦りながら起きてきた。




「蒼太、おはよ」


「ママ、パパがゆめにでてきた」


「えっ、どんな夢だったの?」


「ママのいうこときくんだよって。ママのことだいじにするんだよって。ママのしあわせをねがうんだよって」




その言葉に、涙がポロポロと溢れてきた。


蒼太の夢の中でも、優太はあたしのことを想ってくれている。




「他には?何か言ってた?」


「ドリブルじょうずだったよって。バスケのれんしゅうがんばるんだぞって」


「そっか。やっぱりパパは見ててくれたんだね」


「うん!だからもっとれんしゅうして、もっとじょうずになるんだ!」


「そうだね」




こうやって、蒼太や優華と優太の話をする時間が好き。


いろいろ思い出して、涙が出てくることも多いけれど、でもやっぱり優太のことを話してると、心が温かくなるんだ。




目の前にいる蒼太が、ふと視線をずらしたとたん、パァーッと明るくなった笑顔。




「あー、しゅんにいちゃんだ!」




舜はにっこり微笑んで、走ってきた蒼太を抱き留めた。