食事が終わったら、紗羽と蓮くんはそのまま帰っていった。




アパートに帰ると、蒼太と優華は疲れたのか、すぐに寝てしまった。


静まり返った部屋の中で、舜と向き合って座る。


しばらくの沈黙のあと、先に口を開いたのは舜だった。




「絢華さんは、あの隼人さんって人のこと、……好きなの?」




そう聞いてきた舜は、普段の柔らかい表情とは違って、真剣な表情をしているからか、視線を合わせられない。




「……好き、とは違う。でも、隼人さんには、ほんとに助けてもらったから」


「どういうこと?」


「……あたしにはね、親とか、兄弟とか、祖父母とか……そういう親戚って呼ばれる人が、一人もいないの」


「えっ」




舜はかなり驚いた顔をしている。




「優太もね、親はどこかで生きてるんだろうけど、どこにいるかわからない」


「……」