「あれ?絢華、何で泣いてるの?もしかして蓮が泣かせたの?」




バスルームから出てきた紗羽が、あたしの濡れた頬を見て言った。




「ち、ちがうって!」




蓮くんは、手をフルフルと振りながら焦ってるし。




「ふふ、蓮くんからパワーもらってたの」


「パワー?」




そのまま蓮くんがお風呂に入った。




「紗羽は、いい人をつかまえたね」


「ふふ、そうでしょ?でも“つかまえた”じゃなくて“つかまえてもらった”ってのが、正しいかな」




紗羽、いい顔してるな。




「そこまで想われてるって凄く素敵だね」


「そのうち絢華にも、またそんな人があらわれるかもよ」




その言葉で、脳裏に隼人さんと舜くんの顔が浮かんだ。




「そんな人、なのかな……」


「えっ、もしかして、そんな人いるの?」