ストーカーの相談なんて、誰にしていいか分からない。

真っ先に目に止まった交通課。

ここじゃないでしょ、と隣に立つシンを見上げる。

シンの方も、来たはいいけど、やっぱり同じようにキョロキョロと周りを見渡していた。

あたし達が、挙動不審に見えたのかな。

一人の年配の婦警さんが、声をかけてくれる。

「何か?」

「あ・・・ちょっと相談が・・・」

短く用件を伝えると、その婦警さんは「待っててね」と微笑んでカウンターの向こうの受話器を手に取った。

「2階に行きましょう」

促されるまま、奥の暗い階段を登っていく。

一般人も使うなら、もっと明るい電気にすればいいのに。

省エネなのか、気にならないだけなのか。

相談って、取調室みたいな個室でするものだと思っていた。

あたし達が通されたのは、警察官たちの机が沢山ならんだ一角だった。

簡単な間仕切りがしてあるが、腰掛けたソファーからは出入り口はおろか、事務所全体が見渡せるような粗末なものだった。

「なんか・・・貧しさが滲み出てんね」

あたしの緊張を解そうとして、シンがこっそり耳打ちする。

それを聞きながら、あたしは小さく笑って相槌をうった。