アナグマは時々こんなふうに、ディーにはよくわからない、難しい話をする。
理解はしきれないけれど、嫌いではない。知識を得るのは楽しいことだ。
「知能が高い生き物ほど、無駄なことをすると、よく言われるね」
「そうですね。犬や猫が人間を相手に遊ぶのが、良い例で」
「それならば、人間だって、働かないで遊び回っている人の方が、知能が高いのかい?」
「えぇ? それは……」
「反対に、遊ばない生物を見てごらんよ。生きていくのに必要なことだけして過ごしている。一切の無駄が省かれたその生き様は、実に美しいと思わない?」
うーん、と曖昧な返事を返しながらも、ディーの首は、こくんと頷いた。
アナグマの言うこと全てを理解することはできないが、本でしか見たことのない、海を泳ぐ魚や、南の方に住むという蝶の大群を連想したのだ。統率の取れた動き、けれど時折故意に乱される調和は、不思議な美しさがある。


