アナグマさんの動物記【Cat】




「にゃー……」

耳の先から出したような、か細い声。
大きなつぶらな瞳。

「かぁぁわいいぃぃぃ」

思わずへにゃりと顔を緩めて抱き上げたディーの顎に、仔猫は甘えるように擦り寄る。
やはりさっきは緊張していただけで、本来の性格は人懐っこくて人好きな甘えん坊のようだ。そうでなければ、暗い路地裏で誰かを呼ぶように鳴いたり、「おいで」と声をかけたディーに、されるがまま抱き上げられたりすることはなかっただろう。

「さっきまではあんなに警戒心剥き出しだったのにねぇ……安全だとわかると、変わり身が早い」
「それが猫じゃないですか。気分屋で気紛れ、アナグマさんみたいですねー」
「僕かい? そんなことを思ってたのか、ディーは」

自覚なかったんですかぁ?と、ディーが非難の声をあげる。どうやらディーは、アナグマの物腰柔らかなようで実は頑固でわがままなところに、ずいぶん振り回されているようだ。