石畳を走って行く、一人の人がいた。

長い赤毛を頭の後ろで一つにまとめ、キャスケット帽を目深に被った、背の低い人物。
少年だろうか。膝まであるブーツの踵を鳴らし、雨の中を、息を切らして走って行く。

名前は、ディーといった。


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