入り口だと邪魔になるので、昇降口の端で朝倉君と向き合う。
朝倉君は、背の高めな私でさえも少し見上げるくらい高い。
「どうしたの?美砂なら帰ったと思うけど…」
と話し出せば、
「いや、中山に聞きたい事があって……」
と返された。
「あのさ……山田と…付き合ってるの?」
山田……敦の事か…
確かに美砂も敦と話すが、それは同中の友達だからであって付き合っては居ない。
「敦とは同中の友達だよ。今のところ美砂は誰とも付き合ってないよ?」
私が美砂の変わりに答えるが、返ってきたのは安堵の言葉ではなく「へっ…?」という間が抜けた声だった。
声と同じく間が抜けた顔をしていた朝倉君だったが、慌てたように「違う!」と言った。
………何が違うのだろうか……。

