そう、風上君はクールだけど良い人で私をいつもかばってくれる。
でも、彼女らはそれが気にくわなくて私をさらにひどくいじめる。
「でも、著者名に風上千春って書いてるでしょ?」
そう、自信満々を装って私は言った。
本当はこんな本書いてないし、読んだこともない。
でも、このいじめから抜け出したくて、嘘をついた。
コレは俗に言う藁にも縋る思いだったのだ。
今思えばこんなすぐバレる嘘を吐いたって意味がない事ぐらい分かるはずなのに。当時の私にはもうそんな事を考える余裕さえ無かった。
著者名なんて本当に偶然重なっただけだったのに。
「そんなの証拠にならないわっ!」
「しかも何で名字が"風上"なのよ!」
「おい、お前らいい加減にしろよ。別に著者名なんて波里の自由だろ?」
しかし、そんな嘘つきな私を彼はいつもかばってくれた。
淡々としかし、少し圧力のある風上君の声を聞いたからか彼女たちは途端に大人しくなり笑顔を取り繕う。
「そ、そうよね〜」
「別に怒ってるんじゃないの。傷ついたならごめんね、波里サン」
あぁ…でも目が笑ってない。またいじめられるんだ、私…。
この頃の私は、喋り方だけで今日のいじめの度合いが分かるようになっていた。


