あれから風上君とも1回も話をしていない。
物語は何も思いつかない。
「ねぇ、波里さん。物語はもう出来た?」
また、か…。
あの約束をして一週間過ぎてから、毎日のようにこの質問を受けていた。
「………まだ」
こう答える度に胃が痛くなる。
「そうよねー
すっごく面白いの考えてくれてるものね?」
「………」
「あー、もしかしてまだ何も考えてない?」
ビクッ
しまった。反応してしまった。
でも、そう考えた時はもう遅いと自分でも気づいた。一体何を言われるのかと内心に力を込めて身構えていると…
「ふーん…じゃあさ、原稿用紙5枚くらいのめっちゃ短い物語でも良いわよ?」
予想に反した答えに驚いてえ?と思わず聞き返す。
「風上君が10枚で1ヶ月はきついだろって。勉強とか部活あるんだからって言ってきたの。それを言い訳にされても困るし…だから5枚で良いわよ」
もっと前に風上君から言われてたはずなのに、残り一週間になって変更してくるのはきっと私の考え過ぎではないだろう。
でも、風上君…私を気遣ってくれたんだ。あんなに酷い態度取ったのに。
だけどここで反論したって事態は余計に悪化するだけだ。
「……分かった」
私はまた頷くしか出来なかった。


