「…なぁ、茶一」
「なんだ?」
「…俺はひどく臆病だ」
冷時は俺の顔を見ずにただ屋上のフェンスに背をあずけ、上の遠い雲をを向いている。
「…俺は本当のことを聞くのが恐い」
「どうして波里と持田が…?ってことか?」
「……。
なあ、俺はどこがいけなかったと思う?」
「冷時は真面目だし、性格にも顔にも問題なんてねぇよ」
ネタ知ってるけど、今は言えねーしな。つか俺は冷時がアイツを諦めてくれるならそれはそれで構わねーし。
持田の計画に乗ったのも実はそんな考えもあったからだ。
あんなメンドーな女、さっさと諦めれば良いのに。
冷時が悲しまなければアイツなんか関係ない。
「でも…俺は…」
でも、コイツはこんな顔をする。だから…
「なぁ、何でそんなに否定的に物事を捉えるんだ?
もう後悔はしないって俺に言ったよな?
今のお前はどうなんだよ?」
俺はこう言うしかない。
「後悔…」
「冷時言ってたじゃねぇか。
中学では好きな人に想いは伝わらなかった。
しかも俺のせいで彼女に重荷を背負わせてしまったって。何も出来なかったってよ」
そう、苦しげに俺に打ち明けてくれたじゃねーか。


