「・・・はい。」

声の主は、矢野真紀――。
引っ込み思案で人見知りなため、クラスから孤立しがちだった。

いきなり声をかけられたが、私はこれと言って動揺せず、
カバンを机にかけなおしながら答えた。

すると、矢野真紀は、目を泳がせながら言った。

「えっと・・・一緒におべんと食べない?」

「・・・私と?」
「ぁ・・・うん!あのっ、遠藤さんいつも1人で食べてるみたいだし、良かったらこれからは私と―――――」

「・・・悪いけど、私1人の方が気楽でいいから。」

「あ・・・そ・・か・・・。」

矢野真紀は、少しおびえた様子で教室を飛び出した。

「・・・・。」