「……何で逃げるの。まだ話の途中。」


そう言って先輩は私の腕を掴んできた。



「……すいません…」



絶対睨んでるって…



「何下向いてんの?俺、下向いていいっつった?」



「あ…はいッすいません」



急いで顔を上げ、王子の顔を見る。



……睨んでる…



「どーして入って来たの?」



「…理科室に用事があって来てみたら、ドアが少し開いてたから行ってみよーかと…」



「……俺が居たって事知ってて入ってきた?」



んなワケ無いじゃん。


知ってたら入んないって。


「知りませんでした。知ってたら入りません。」


「本当に?」


まだ疑いの目をしている。


「本当です。」



「………そっか」


よーやく疑いの目はやめてくれた。


少し顔が緩んだ気がした。


「……理由話したんで、手退けて下さい。」


先輩はまだ腕を掴んでいる。


今度は私が先輩を睨む。



あぁー、早く教室に帰りたい。



「早く離してほしーんだ?」

「はい。早く離してほしーです。」



「ふーん…」



すると、先輩は


「先輩にそんな事言っちゃうんだ?」


「………は?」


意味分からん。



「勝手に入ってきたり、先輩を睨んだりさぁ。」



先輩は悪魔みたいに笑う。


逆に怖い。