「はい」


突然渡されたのは


上靴だった。


しかもそれはわたしのじゃない。


「あたしのだけど
 使ってよ。
 それと、早く行かないと遅刻するよ?
 ってもう遅刻決定だけど。
 じゃあね」


そう言ってその人は


ローファーのまま颯爽と


行ってしまった。