「じゃあ、私帰るね」 そっと私の耳元で美華は囁くと、水玉の傘をくるくる回して去って行った。 こちらをじ、っと見ているバンビは果たして何年振りか? そんなの、即答。 「4年、振り……」 毎年梅雨が来る度に数えていたのだから。 「バン、ビ………!」 傘なんて放り捨てて、走った。 「うさちゃん」 雨にかき消されて微かにしか聞こえない。