♪ジリリリリリ♪


目覚まし時計が大きな音を立てて、美愛の鼓膜に振動を与える。


「ねっむ~い・・・。」

もう一眠り、あと5分。


目覚まし時計を止め、再び眠りにつこうとしたとき!


「美愛!起きて。学校遅刻しちゃうよ~。」


2階から優しい声の母さん。


「こら!美愛、早く起きなさい!」

なんて怒ったりするお母さんのほうが多いかもしれないけど、のほほんとしてる母さんと、テキパキしている美愛は意外に気が合うのかもしれない。


「あぁ、うるっさいなぁ。」

美愛は寝癖だらけの頭を揺らしながら、2階のリビングへ足を運んだ。


食パンと目玉焼きが並んでいるテーブル。

椅子に腰掛けようとしたとき、ふと時計に目がいった。


「ちょ・・・ちょっと母さん!
もう8時じゃん!」


一瞬、この時計が狂っているのかと。

自分の目を疑ったりもした。


「なぁに、美愛があと5分って言って
50分も寝てたんじゃない。」


は~!?50分??


「もういい!行ってくる。」


食パンを口にはさみ、ランドセルを軽って玄関を飛び出した。


いくら学校までの時間が5分だからって8時に起こすことないでしょー!


ランドセルのキーホルダーがシャカシャカと音をたてるほど、美愛は走った。


学校の校庭に着いたのは8時10分。

ギリギリセーフってとこかな!?

まぁ、遅刻は8時15分からなんだけど。


あまりにも急ぎ過ぎたせいで、食パンを噛るのも忘れていた。


「走ったせいで食欲なくなっちゃった。」

このパンを持って来なければよかったと少し後悔。


校庭には、またサッカーをしている拓君が見えた。

額に少量の汗がにじんでいる。


しばらく拓君を見ていると拓君も美愛に気づいたみたいで、こっちを見たと思うと美愛の大好きな笑顔をくれた。