ふと古い日記帳を読み返す。


拓君、淳史と出会った日から6年が過ぎまたころー。


美愛は、元気いっぱいの小学4年生だった。



ゴンっ!

鈍い音がして、美愛の頭にピリッとした痛みが走る。

「いったぁ・・・何するのよ!?淳史!」


淳史・・・そう、淳史はもちろん同じ小学校で学年も同じ。

優一良かったことといえばクラスが離れたこと。


美愛は4-2。

淳史は4-3。


美愛が頭を撫でていると、小悪魔のように爆笑してどっかに逃げてしまった。


初めて会った日の淳史は、美愛のことを嫌いだったと思う。

いや、絶対!

今もそれは変わらない。


でも、あのときと違っていることはただ1つ。

美愛に話しかけるようになったこと。

別に話かけなくてもいいのに。

痛い思いしなくて済むしー。


「ったく・・・。
次やったら、やり返してやるんだから!」


美愛は怒りに満ちた思いを隠そうと小声で呟いた。


すると、そんな美愛と淳史を見かねて


「なんか、美愛と淳史仲良いよね?」


隣にい佳子(かこ)がボソッと口を開く。


「何言ってるの!
美愛も淳史も、仲良しだなんて思ってないもん!」


ぷく~っと口を膨らませた美愛は、夏帆を置いて教室へと向かった。


なんなのよ!

淳史なんて嫌いキライ大~っきらい!

淳史なんて、ただ亜季とイトコなだけじゃん!

淳史なんて、拓君の弟だからって少しモテるかもしれないだけじゃん!

仲良くしたいなんて思ってないもん!



一人でブツブツ文句を言っていると、渡り廊下で、校庭にいる拓君が見えた。

いつから美愛は、拓君って呼んでるんだろ。


「おぉ!拓也ナイッシュー。」


サッカーをしている拓君がシュートしたんだ。

周りの友達が拓君の肩を叩いた。

パスを貰って、ドリブルで何人も抜いている拓君は爽やかでー。


春の風が渡り廊下を吹き抜けた。