亜季の部屋に入ってテレビをつけると、美愛が大好きなアニメをしていた。


「何見る~?」

って淳史君が聞くから、調子に乗った美愛は大好きなアニメの番組を言う。


淳史君のほうをチラッと見ると、明らかに不機嫌そうな顔・・・。


美愛は淳史君に嫌われてるよ、絶対!


「うん、じゃそれ見よ。」

拓也君は、美愛の様子に気づいたのか気づかってくれたみたい。


大好きなアニメを見てると、淳史君に嫌われてることも、保育園のお昼寝を抜け出して怒られたことも、全部ゼンブ忘れちゃった♪


そのアニメが終わるころ。

亜季が美愛を迎えに来た。


針が時計を丸々1周するくらいの時間ー。

長いようで短かった。


車の中で亜季は、美愛に問いたずねた。


「亜季の家、楽しかった?
拓也とも、淳史とも話した?」


「う~ん。
美愛の大好きなあのアニメ見せてくれたし、楽しかったけど。
淳史君が美愛を嫌ってるよ。」


美愛が困った顔でそう言うと、亜季はふふっと笑みを浮かべた。


「淳史は、美愛と同じで照れ屋だからね。
はじめての人とは喋らないもん。
亜季には
『亜季姉ちゃん』って、話しかけてくれるけどねー。」

って。


そうなの?

本当にそうなのかなぁ?


でも・・・それより、


「でもねっ!
拓也君は、すっご~く優しかったの♪」


拓也君は美愛よりお兄さんだからかな。

すごく輝いて見えた。


「拓也は優しいもんね。
でも、拓也も美愛より2つ上なだけで、美愛のお兄ちゃんより年下なんだよ。」


亜季の言葉に美愛は驚いた。


なんでって?

拓也君が2つ違いってことにだろうね。


「美愛、口空いてる。」

あっ!

ホントだ。



その日は少ししか話さなかったけどー。

これが、拓也君と淳史君との出会いだった。