「めんどくせえなぁ・・・。」

その声のする方には、腕を組み壁に

寄りかかった少年がひとり。

いかにもやる気のない顔で、

どこか遠くを見つめている。

 「そんなこと言ってないで。ちゃんと言ってきてよね!」

横にいた自分よりも十歳程年下の子供に

促され、よっと体を起こした。



 少年の名は月夜。月の国に住む月駕人だ。

彼はこれから人間界へと行き、婚約者を探す。

・・・が運命に決められた相手を探すのは、

あまり乗り気ではないらしい。

ハアーと深いため息をいくつもしている。

 「・・行って来る。」

そして月夜は暗闇へと消えていった。

その顔に少しの笑みを浮かべながら・・・。